こんにちは、あしゅらんです。
芸術の秋だからか、映画を観る機会が増えました。笑。今回は「ヴァンサンへの手紙」を観てきたので感想記事を書いていきます!
ちなみにこの映画は2回ほど観ました(笑)1回目は上映劇場が渋谷駅から近いと思い込んでいた為(実際は渋谷の奥あたり)、盛大に遅刻して冒頭を見逃しちゃいました(
その見逃した冒頭部分が気になってしまったので友人を誘って2回目の鑑賞を決め、冒頭部分をなんとか観ることができました笑
冒頭って映画の顔って言いますしねホント大事大事。
作品情報
原題:J’avancerai vers toi avec les yeux d’un sourd (ろう者の視点であなたに寄り添う)
公開年:2015年
監督:レティシア・カートン
音楽:カミーユ(『レミーのおいしいレストラン』主題歌)
編集:ロドルフ・モラ
共同配給:アップリンク、聾の鳥プロダクション
製作国:フランス
ジャンル:ドキュメンタリー
フランスのろう者たちにスポットライトを当て、彼らを取り巻く医療・教育・人権問題などから彼らが抱える心の声を描いたドキュメンタリー映画。
<あらすじ>
友人のヴァンサンが突然命を絶った。
それから10年の間、彼の不在を埋めるかのようにレティシア監督はろうコミュニティの中でカメラを回し始める。
ろうコミュニティの中で交わす美しく豊かな手話と、優しく力強いろう文化。それは彼が教えてくれた、もう一つの世界。
共に手話の中で生き、喜びや痛みをわかちあう中で、レティシア監督はろう者たちの内面に、ヴァンサンが抱えていたのと同じような複雑な感情が閉じ込められているのを感じ取る。
手話が禁止され、社会からも抑圧されてきた怒り、ろう教育の意義、ろう者の人権とは何なのか。
「ろう者の存在を知らせたい」というヴァンサンの遺志を継いだレティシア監督が完成させた本作は、ろう者の立場に自然と寄り添いながら、優しくもありながら痛くもあり、そして静かに、やがて鮮やかに、この世界のありようを映し出す。
<感想>
この映画は個人的には結構衝撃的でした、、、!
日本より海外の方が障害理解がすごく進んでいるってイメージがあったのだけれど実際に蓋を開けてみるとそうではなかった、という事実がリアリティありまくりでした。
冒頭はレティシア監督の手話語りから映画が始まるのですが、亡くなったヴァンサンに対して語りかける監督の切ない顔と手がすごく印象に残っています。「惜しい人を亡くしたんですね」って声かけたくなります。ううっ切な〜〜〜〜〜。
冒頭のシーンは子供に絵本「3びきのこぶた」の内容を手話で読み聞かせる、というもの。子供に伝わりやすいよう工夫されていて、手話が分からなくても楽しめるシーンでした。
そしてヴァンサンの残した言葉、「母国なのに外国人のようだ。」もなかなか秀逸な言葉だと思えます。同じ国の人間でありながら差別意識が潜んでいるというメッセージが込められています。
映画の中の視点とは
この映画の凄いところは監督の友人がたまたま「ろう者」だったことを起点に、友人のろうコミュニティにおける人間関係から、ろう者を取り巻く環境やセンシティブなテーマをナチュラルに取り上げているところ。
それは”先住民族と現地の言葉を用いてコミュニケーションし合い、現地民の実態や、現地民の文化的背景、現地民の活動などを取材している普通のドキュメンタリー”と何ら代わりは無いようにも思えてくるのです。
こういう題材を扱うと、どうしても上から目線になってしまいがちな作品が多い中、この映画は身近な友人を取り扱ったということもあり、きちんと目線を合わせつつ寄り添って撮っていて、違和感がないのがすごい。
ちなみにヴァンサンはなぜ死んだのか、理由が最後まで明らかにされていないままだったのがすごく気になるところです。
故人の事をアレコレ言いつつ映画にするのは憚るのかもしれないのですが、ここまでヴァンサンを取り巻く環境を取り上げたのならもう少し深く掘り下げているのを観てみたいものです。
<考察>
「フランスは反骨の国とも言われている」と、池上彰さんがテレビで言ってました。それでストライキも多く、問題提起による革命を過去から幾度も起こし続けていることで有名ですね。
この映画はろう者が受けた社会の抑圧に対して反発しているわけです。このあたりはセンシティブな部分もあるので賛否両論あるとは思うんです。
ただ、そういうのも含めて周りの人と話し合うことも、ある意味での1つの映画の形とも言えるのではないでしょうか。(人工内耳の存在・ろう教育は口話が良いor手話が良い・社会からの抑圧により子供ができない体にさせられるなど。人によってはショッキングな内容も。)
反骨精神盛りだくさんなフランスだからこそ、こういう風に問題提起しつつ、撮れるものなんだろうか、と思わせられました。
ちなみに作中では、受付の窓口?でチケットについて困惑しているろう者相手にずっと喋って説明するだけで筆談しようとすることさえ無かったシーンがあります。
「役所でさえ、障害者に合わせようとはしないんだ。皮肉に満ち溢れてるだろ?」とでも言わんばかりのメッセージが暗に込められているかのような気がします。
聴者の人が筆談を行わないのはおそらくフランスでは識字率が全体的に低いことから、声や口話でのコミュニケーションが強いことが関係しているのではないか。と推測されています。
どんどん書きたいところですが長くなりそうなので割愛。
<上映劇場情報>
東京では2018年11月末いっぱいまでは渋谷のアップリンクで上映されています!
その他の地域では、全国の各劇場で上映会を行なっているそうです。
(上映時間や期間がかなり限られているので機会があればぜひどうぞ〜!)
追記:2020年4月1日より
オンライン映画配信決定です!!!家でも見れるようになりました!
https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2330/
最後に
肯定と否定が複雑に絡み合って表現されているため、観る人それぞれ違う受け取り方、印象があると思います。こういう映画はどんどん他の人に観てもらって議論を交わして欲しいところ!
あしゅらん
『ヴァンサンへの手紙』
公式HP:http://www.uplink.co.jp/vincent/
モントリオール国際映画祭2015正式出品
ルサス映画祭2015正式出品
第一回東京ろう映画祭上映(『新・音のない世界で』のタイトルにて上映)
「ヴァンサンへの手紙」のファンアート描きました🤟
友人の死がきっかけとなり、フランスの聴覚障害者を取り巻く医療・教育・人権問題にフォーカスを当てたドキュメンタリー映画です#ヴァンサンへの手紙 #Javanceraiverstoiaveclesyeuxdunsourd #fanart #鑑賞感想落書 pic.twitter.com/nH4BscVTM7— あしゅらん⊿ ◝('ω')◜ (@asyuran4810) November 18, 2018